1998年12月アーカイブ

セックスと戦争

戦争が一時間前に起きました。アメリカとイギリスがイラクを攻撃してるよ。理由は、フセイン(イラク)が大量殺人兵器の検査に承諾しなかったからなんだって。でも、本当の理由は違うんだよ。この戦争はクリントンが自分を助けるために起こしたんだよ、きっと。

クリントンは現在、不倫疑惑に嘘をついたことでアメリカで告発されようとしています。明日が告発するかしないかを国会で決める日です。戦争を起こせば、国民の人気が上がります。「頼りになる大統領」のイメージが出来ます。クリントンは自分の政治生命を守るために戦争を起こしました。そのために何人の罪のない人たちが死んじゃうのかな?一人の人間を正当化するために何人の子どもたちがご飯を食べられなくなるのかな?

今もニュースで戦争のシーンが流れています。花火のように夜空にミサイルの光が瞬いてるよ。この光がクリスマスツリーの光だったらいいのにね…。きっと、日本は平和なんだろうな。みんな幸せですか?街はにぎわっていますか?でもね、今、たくさんの罪のない人たちが一人の人間のセックス疑惑のために死んでるんだ。なんか、悲しいね。あ、クリントンがスクリーンで言ってるよ。「私はこの攻撃について後悔している。でも、フセインを倒すにはこれしかないんだ。」あ、そうですか…。僕はあなたみたいな都合のいい人間にはならないからね。あ~、もうすぐクリスマスだよね。でも、本当にメリー・クリスマス?

一言: サンタさん、僕のプレゼントはいらないから、早く戦争を終わりにしてください。

雪が降った…。ケンブリッジは寒くなるだけで雪は降らないと聞いていたのに窓の外でふわふわと降っています。雪は5、6分で雨に変わってしまったけど、気が付けば、なぜかぼくは涙ぐんでいました。今日、嫌なことがあったんだ…。教授とのミーティングで「はっきり言って君の論文は幼稚だね。書きなおしたら?」って言われました。「幼稚…」初めて言われたよ。こんなに傷つくとは思わなかった。すごく悔しくてさ…。教授に対して怒れる気持ちがこみ上げてきた。そんな気持の中、部屋のコンピュータの前に座っていたら雪が降ってきた。まるでぼくを慰めてくれているようだった。

雪を見ながら、なぜか自然に自分のここまで足跡を振り返っていた…。12歳でアメリカに来て、英語もできないのに現地校にいったこと、高校ではアメリカの上流階級の中で自分との違いを痛感した事、大学では日本人の友達と勉強もせずにテスト前にカラオケに行ったりして遊びほうけていた事、ハーバードではよくわからんがエリートを目指した事など、いろんな思いでが浮かんできた…。そして最後に「お前はよくここまで来たね。よくがんばったね。」なんて自分を慰めていた。そして、なにか自分の中で変わった気がした。初めてアメリカに来たときの気持ちに戻れたような気がした。

そしたら急に自分に腹がたってきた。教授に対して怒りを覚えた自分に…。なんか自分を偉い人と勘違いしていた自分が情けなかった。いつも、ぎりぎりのところでどろどろになりながらここまでやって来たのに、ちょっと自分の論文が認められないことで落胆していた自分のうぬぼれが悔しかった。「お前は何様のつもり?天才なの?」自分の中で繰り返した。このごろ、よくまわりの人から天才だとかすごいとか言われるようになった。そんな他人の言葉に自分を見失っていたみたいだよ。「論文が幼稚?」当たり前じゃん。ぼくがきっとここで一番未熟だろうしね。うれしいじゃん。これからもっと成長できるんだからさ。ぼくはこんなところをゴールにしたくないよ。これからもチャレンジャーでいたいんだ。

気付いたら雪はもう雨に変わっていました。ぼくは窓辺から空を見上げてつぶやきました。「ありがとう、お前のおかげで自分を取り戻せたよ。原点に戻れたよ。これからもがんばれそうだよ。」もし来年の今ごろ、雪を見ることが出来たらどんな気持ちでぼくはそれを見ているんだろうな?そう思いながらぼくはスクリーン上の「幼稚な」論文を見つめるのでした…。

一言: 悲しいときは自分の足跡を振り返ってみようよ。きっと、忘れていた何かを見つけられるから…。

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