雪が降った…。ケンブリッジは寒くなるだけで雪は降らないと聞いていたのに窓の外でふわふわと降っています。雪は5、6分で雨に変わってしまったけど、気が付けば、なぜかぼくは涙ぐんでいました。今日、嫌なことがあったんだ…。教授とのミーティングで「はっきり言って君の論文は幼稚だね。書きなおしたら?」って言われました。「幼稚…」初めて言われたよ。こんなに傷つくとは思わなかった。すごく悔しくてさ…。教授に対して怒れる気持ちがこみ上げてきた。そんな気持の中、部屋のコンピュータの前に座っていたら雪が降ってきた。まるでぼくを慰めてくれているようだった。

雪を見ながら、なぜか自然に自分のここまで足跡を振り返っていた…。12歳でアメリカに来て、英語もできないのに現地校にいったこと、高校ではアメリカの上流階級の中で自分との違いを痛感した事、大学では日本人の友達と勉強もせずにテスト前にカラオケに行ったりして遊びほうけていた事、ハーバードではよくわからんがエリートを目指した事など、いろんな思いでが浮かんできた…。そして最後に「お前はよくここまで来たね。よくがんばったね。」なんて自分を慰めていた。そして、なにか自分の中で変わった気がした。初めてアメリカに来たときの気持ちに戻れたような気がした。

そしたら急に自分に腹がたってきた。教授に対して怒りを覚えた自分に…。なんか自分を偉い人と勘違いしていた自分が情けなかった。いつも、ぎりぎりのところでどろどろになりながらここまでやって来たのに、ちょっと自分の論文が認められないことで落胆していた自分のうぬぼれが悔しかった。「お前は何様のつもり?天才なの?」自分の中で繰り返した。このごろ、よくまわりの人から天才だとかすごいとか言われるようになった。そんな他人の言葉に自分を見失っていたみたいだよ。「論文が幼稚?」当たり前じゃん。ぼくがきっとここで一番未熟だろうしね。うれしいじゃん。これからもっと成長できるんだからさ。ぼくはこんなところをゴールにしたくないよ。これからもチャレンジャーでいたいんだ。

気付いたら雪はもう雨に変わっていました。ぼくは窓辺から空を見上げてつぶやきました。「ありがとう、お前のおかげで自分を取り戻せたよ。原点に戻れたよ。これからもがんばれそうだよ。」もし来年の今ごろ、雪を見ることが出来たらどんな気持ちでぼくはそれを見ているんだろうな?そう思いながらぼくはスクリーン上の「幼稚な」論文を見つめるのでした…。

一言: 悲しいときは自分の足跡を振り返ってみようよ。きっと、忘れていた何かを見つけられるから…。

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このページは、森田 正康が1998年12月20日 21:57に書いたブログ記事です。

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