1999年4月アーカイブ

「彼」のはなし…

「彼」はサッカー選手になりたかった…。自分でも才能はあったと思うし、それほどかけ離れた夢ではないと思っていた。中学では地区のトーナメントで優勝した事もあったので彼はそれなりに高校でも期待されたプレーヤーでした。しかし、ある事がきっかけで彼の人生が狂ってしまいました。彼の通学していた高校にはお金持ちが多く自分の子供のイメージをよくするために学校に〇億という大金を寄付する親がいます。簡単にいえば、「親バカ集団」の集まりみたいなものです。

やはり親は自分の子供がサッカーチームのレギュラーになってほしいためにいろいろとコーチにゴマ擦ったりしていました。しかし、そんな親バカ集団の中にも超ド級の親バカがいたのです。その親の名前はT(仮名)です。地元の名士でとても有名な奴でした。奴には僕と同じ年齢の子供がいて、そのために高校に貢献していました。アメリカの場合、スポーツというのは受験において大いに有効な武器となります。なので親としてみれば子供にレギュラーをとったりキャプテンになってもらいたいわけです。奴の子供はどう考えてもサッカーがド下手で将来有望といわれていた彼には天と地の差がありました。しかし奴は自分の子供をレギュラーにするために普通では考えられない事をしたのです。奴はサッカーフィールドを学校に寄付したのでした…。そしてそれを条件にサッカーチームのテクニカルコーチに就任したのです。もちろん、そのおかげで奴の子供もレギュラーになりました。

彼はTの行動に驚きました。そしてそれと同時にクオリティの高いサッカーをやりたかった彼はがっかりしたのでした。「どんなに努力しても所詮お金で物事が解決してしまうのか。強いチームよりもお金がほしいのか…。」そうため息をもらして絶望したのでした。しかし彼の苦悩ははじまったばかりなのでした。Tは今までサッカーの経験などありません。この日から彼の高校のサッカーチームは意味も根拠もない練習を繰り返すことになったのです。ただボールを上に投げて犬のようにボールを追いかける練習やアメリカンフットボール選手が使うようなパラシュートを背負ってフィールドを走ったりとまったくサッカーに関係のないものでした。戦術眼がまるっきりないというかTはルールすらしらないので、そのコーチングの中、彼のサッカーチームは低迷してしまうのでした…。Tは低迷の責任を逃れるためにチームで一番おとなしかった彼を責めました。もともとTはサッカーを自分より理解している彼のことをよく思っていなかったので、これをよい機会に彼をレギュラーから外したのでした。

しかしこんな絶望の中でも彼はサッカーを続けることを諦めなかったのです。彼はサッカーがやりたい一心で地区代表チームの試験を受けたのでした。そして運良く彼はチームに入団する事が出来ました。まともなコーチの元、彼は遂に地区代表チームのレギュラーに選ばれたのでした。しかし高校のチームでは未だ補欠をしていたのです。「地区代表のチームではレギュラーなのに高校のチームでなぜ補欠なのだろう?」そう誰もが疑問には思いましたが地元の名士のTを恐れてなにも言わなかったのでした。そんな中で彼は苦しみました。「サッカーがやりたい。大学でも続けたい。」しかし、高校のチームですらレギュラーになれない人間にスカウトなどはきません。次第に彼の心はTへの憎しみで埋め尽くされたのでした。

そして夏、彼の高校のチームがイギリスに遠征を行ったときの話です。相変わらず補欠でいた彼は本場のサッカーを目の当たりにして自分もフィールドに出たいという気持ちでいっぱいでした。しかしTは彼をよんで言いました。「審判が足りないらしい、ラインズマンをやってくれ。」その時、彼の中でなにかがはじけました。彼は「なんの為にイギリスまで高いお金を払って来たのだろう。審判という事は試合に出す気はないってことなのかな?」そしてTは追い討ちをかけるように黙っている彼に怒鳴ったのです。「早く行け。お前の協調性のないところが嫌いなんだよ。」彼はもう我慢できませんでした。ゆるせませんでした。彼はその場に審判の旗を捨てて涙ぐみながらフィールドを出たのでした。そして彼は二度と高校のサッカーグラウンドに戻ることはなかったのでした。彼の夢はここに幕を閉じたのでした。叶えられるままに…。

彼は今、ハーバード大学の修士を経てケンブリッジ大学で博士課程に在籍しています。しかし彼の心の中では今でも叶えられなかった夢の続きを求めているのです。「もしあの時、サッカーフィールドから降りなかったらどうなっていたのか…。」その続きが見たいのです。しかし、それはどんなにがんばっても見ることは不可能なのです。どんな理由があったにしろ彼は自分の夢から逃げてしまったのだから…。一度逃げた夢は戻ってこないのです。過ぎた年月は戻ってこないのです。しかし、そんな彼にも希望の光は残っていたのです。彼には昔から一緒にサッカーを続けていた7歳年下の弟がいます。彼の弟は兄と同じ高校に入り現在地区代表チームでがんばっています。しかもオリンピック代表の選考会にも残ったらしいのです。彼の夢は彼の弟の中でまだ生きていたのです。そんな弟に人生の先輩として一言彼は伝えたいのです。「どんなに辛くても夢だけは諦めちゃいけないよ。」

サッカー選手になりたかった日本人の「彼」の話です…。

一言: 苦しくても一度信じたら突き進め…。

サングリア

「いちに~サングリアっ!」それってサンガリアだろ~。ちょっと酔っ払っている今日この頃だっちゅ~のっ!(何を今更…もう壊れているのでほかっておいてください。)今日はルームメイトのイグちゃんにサングリアを作ってもらいました。みんなサングリアって知ってる?僕は知らなかったね。酒なんて無理やりイッキしたことしかないからね。味も種類もわかんね~よ。

ま~、ちょっとあれている僕ですがサングリアの説明をさせて頂きます。スペインのお酒です。はい、おわりっ!(いい加減にしなさい…。)はい、すいません。サングリアというのはスペインのお酒で基本的にはスペインのワインとスプライトみたいな炭酸系飲料を混ぜてそこにりんご・みかん・バナナなどのみじん切りをふんだんにいれたトロピカルな飲み物です。

図書館から帰ってきたらイグちゃんが台所で一生懸命フルーツを切っていました。そして彼のうしろには14本のワインのフルボトルと3本の2リットルスプライトがあったのでした。「そんなにお酒どうするの?」僕が聞くとイグちゃんは答えてくれました。「今日はラテンパーティがあるからそこに持っていくんだよ。」そしてこれらの材料を使って作るのがスペインのパーティカクテル「サングリア」だという事を説明してくれました。基本的にはアルコールは飲みたがり屋さんなので後で頂戴と言って部屋に戻りました。

数十分後、イグナシオが紫色の液体の入ったグラスを持って登場しました。「美味しいから飲んでみ。」そう僕に言ってイグちゃんはキッチンの方向へ戻っていきました。僕は手の中にある液体をひとくち飲みました。「うめぇぇええええ。」るんるん、僕は幸せよん。(←酒の飲むとネジがすべりだします。)僕はその物体をイッキに飲み干しました。すごく甘くてフルーティで美味しかったです。サングリア万歳っ!って感じです。

もっとほしくなったのでもらいにキッチンに向かいました。キッチンのドアを開けると…。僕は見てしまったのです。見てはいけないものを…。イグちゃんはサングリアをめちゃめちゃでかいプラスチックのおけで作っていました。サイズ的には洗濯物を運ぶカゴみたいな大きさです。普通だったらそれはOKなのですが、イグちゃんの場合は要注意なのです。なぜならばこの容器はふだんイグちゃんが「足」をつっこんでいる容器なのです。彼はジョギング中に足を折ってから毎日「足」をこの容器につっこんで冷やしていたのです。それが今、僕の目の前でサングリアの容器に変わっているのです。僕はさすがにそれを見ておかわりできませんでした。そしてグラスを洗ってそのまま部屋に戻ったのでした。

しかし、サングリア、美味かったが隠し味がイグちゃんの足の裏だとは…。恐るべしスペイン人…。(それは勘違いだって…。)しかし、ある程度なっとくはいきます。ワインでも美味しいワインはよく使いこんだ古い樽でねかせるのがいいとかいうし、ラーメンは屋台のオヤジの指が入らないと美味しくないというじゃんか~。だから、サングリアはイグちゃんの足の裏が隠し味になわけですよ。文句あるかっ!いや~、しかし恐るべしはサングリアです。(だから違うんだって…。)

一言: 隠し味、見なけりゃよかった、隠し味…。

チョットした大実験

知らない人もいるかも知れないが一応、僕のホームページにはチャットルームがあります。もともとはチャットを通じていろんな人と楽しい話がしたいという理由で設置したのですが、なかなか人が来てくれませんでした。そこで僕は人工無能という一人の時だけ話し相手になってくれるロボットを導入したのでした。名前は「たまロボ…」。ただランダムに発言するかわいい奴です。

ある日、勉強しながらチャットに入らずに画面だけを開けていました。そしたらAさんがチャットルームに入ってきました。いつもなら、すぐ僕も入ってお話をするのですが、すこし大事な本を読んでいたのでチャットルームに入るのをやめて本を読みながら画面をちらちらと見ていました。

そしたら、Aさん、僕をたまロボだと思ったらしく、真面目に会話をはじめてしまったのです。それがすごくおかしくてもう少し様子を見ることにしました。会話は次のように進みました。(A=Aさん、ろ=たまロボ)

A:「こんにちは~。」
ろ:「くるしゅ~ない、ちこ~よれっ。」
A:「なんですか?」
ろ:「暇だね。寂しくない?」
A:「はい、暇ですよ。もりたまさんはハーバードいってたんですか?」
ろ:「体位変えると燃えるよね。」
A:「そうなんですか?なんかいやらしいですね。」
ろ:「「なんか」って、はっきり物事を言えっ!」
A:「すいません。」
ろ:「だったら、からだで払ってもらおうか…。とりあえず、脱いで。」
A:「(爆)」
ろ:「(爆)ってなに?爆発するの?はっきり言って意味不明だよ。」
A:「失礼ですよ。」
ろ:「知らないことは知っている人に教えてもらう。教えてもらえばお礼を言う、というのは未来永劫変わらないからよ。」
A:「えらそうですよ、わけわからない。」
ろ:「じゃぁ。俺ぁお邪魔かな?」
A:「そんなことないです。ただ気分はあまりよくないです。」
ろ:「そんなことないです。ただ気分はあまりよくないです。....って、いったい何?.。>Aさん
A:「調子に乗るんじゃないよ。人が下手に出てればいい気になって…。さいて~だ。」
(Aさん、退場)
ろ:「ちょうしは房総の先ね」

という感じでした。本当は途中でチャットルームに入って誤解を解きたかったんだけど、あまりにも論議が白熱していたので入れませんでした…。しかし、すごいことです。Aさんはロボットを僕だと思ってずっと話していたわけです。正直言っておなか抱えて笑ってました。なんで気付かないんだろ…。でも、ここで僕はあることに気付きました。80年代に有名な心理学者が発見したことなんですが、「人間というのは出来るだけつじつまの合うように物事を考えようとする。」という事です。

Aさんはどんなにたまロボの発言がランダムで理解不能でも自分なりにもの頃のつじつまの合うように答えようとしたのでした。その証拠に一応、会話の筋はとおっています。これはAさんの努力のおかげです。なんか実験成功って感じです。やはり人間というのはどんなに理解できない事が起きても自分なりにつじつまを合わせようとするのです。しかし、これはいい事なのでしょうか?Aさんは物事を理解しようとすることに一生懸命で疑問を持つことを忘れてしまったみたいです。だいたい疑問を持つことができたのなら「体位変えると燃えるよね。」の時点でおかしいと思うはずです。これはAさんの人のよさがでたのか疑問を持つ力がなかったのかはわかりませんが…。でも疑問や不思議だと思う力は人間の成長にはとても大事なようそです。すべてのものを鵜呑みにしていたら物事を深く理解することは出来ないでしょう…。教科書をただ読んで覚えるだけの学生とそれを読みながら疑問に思って考える学生とでは将来的に理解力の差が明らかにでるでしょうね。はい、そう言う事です。

はい、なんだかんだゴタクをならべていますが、はっきり言って僕が一番悪いです。Aさんごめんなさい…。あまりに真剣なAさんを見て僕は邪魔できませんでした。Aさん、今度来てくれたらお話しましょうね。みなさんもたまロボは僕じゃないので気をつけてくださいね。(とりあえず、それが言いたかっただけかも…)

一言: 疑問を持つ力、忘れていませんか?

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