9月29日、夜10:00。僕はサンフランシスコ空港に家族といる。これからレッドアイでニューヨークに向かうところ。レッドアイというのは、夜出発して朝到着する便のことを意味する。きっと、飛行機の中で眠れない人たちが朝、空港に着いた時に赤い目をしているからだと思う。サンフランシスコはとても楽しかった。4日間しかいれなかったが、家族団欒で久しぶりにすごせたし、親友とも話ができ、とても有意義な滞在だった。
簡単に食事をしている時に父親が搭乗券を見ながら言った。「あ、ゲート番号42番じゃん、死人番号だね。」よくまぁ~、今から飛行機に乗る息子にそんなことが言えるのか、ある意味驚きはしたが、それがまた父らしく嬉しかった。でもなにかゲートをくぐったら魂を吸い取られるような気がしてきた。もともと僕は死ぬことを恐れてはいない。だけど、心が死んだまま生き続けることはしたくないと思う。「NYに行くことで死人のようになってしまうのかな?」そんなわけのわからないことが断片的に浮かんできた。
そんな矢先、父親の携帯電話に弟からの電話が飛び込んできた。弟は2日前に車を買ってもらったので、今日は早速、彼女とデートに繰り出していた。でも、一応、自分の兄貴の出発日は覚えていたようで電話わざわざくれたみたいだ。これも弟らしくて嬉しかった。さすが、いろんな意味で僕と同じ血が流れているだけはあるようだ。「御兄ちゃんごめんね。行ってらっしゃい。」「おう、お前も運転気をつけるんだぞ。サッカーがんばれよ。」短い会話ではあったが、お互いの気持ちは伝わったと思う。
さて、搭乗時間がやってきた。僕は妹と母と抱き合って別れを継げた。無論、父親はとっくに出口のほうに向かっていて「がんばれよ」と一言いいながら背中を僕に見せた状態で軽く左手を振っていた。なぜかわからないが父親の背中からやさしさが感じられた。家族と別れを終え、僕は死人のゲートをくぐっていた。座席番号をチェックするとそれは13列目だった。相変わらず、僕らしい。とことんオチを付けたいようだ。そして僕は42番ゲートから出発する飛行機の13列目に座り、目的地ニューヨークへと旅立った。ある意味、何十ゲート、何十席とある中から42と13を引き当てた僕の運のよさはすばらしいなと感じた。相変わらず、僕は楽天的のようだ。どんな苦しいことがNYであってもやっていけそうな気がした。
そして朝。NYが近づいてきた。早速視線を窓のほうに向けた。きっと、高層ビルが僕を迎えてくれるんだと期待していた。だけど見えたのは普通の住宅地っぽいとこだった。多分、着陸の時はマンハッタンの上は飛ばないのかもしれない。がっくし。でも、これも僕らしい。空港を出た僕の胸はある意味、不安と期待でどきどきしていた。ニューヨーク。一体どんな街なんだろう?僕はここで生きていけるのだろうか?ついにこの田舎者もNYまで来たのか…。僕は死人になるのだろうか?それとも何かをここから勝ち取ることができるのだろうか?本当に明日からが楽しみである。でもどんなことが会っても心が死んでいる人間にはなりたくない。新しいものを追いかけ続けながらときめいていたい。なぜかそんなことを考えながら僕はタクシー乗り場へと向かった…。ニューヨーク。ここが僕の新しいスタート地点。
一言: いつも心に好奇心を…。
